行政書士は、街の法律家といわれる難関国家資格の一つです。
行政書士には独占業務があり手に職がつくため、主婦や働く女性にも人気の資格です。
行政書士とは、どんな資格?
行政書士は「街の法律家」と呼ばれ、以下のような場面での活躍が、行政書士に期待されています。
- 行政に対する手続きの専門家として
- 権利義務に関する私人間の契約書作成等の専門家として
- 現代の複雑多岐に発展した様々な法律制度において、より個々の企業実務に特化した分野での活躍が期待される、「隣接法律専門職」として
個人や企業は、その活動において、年間を通じ非常に多くの書類を各省庁や都道府県庁、市・区役所、警察署といった官公署に提出します。
そしてその多くは、書類の作成上において法律に関する専門知識を要し、専門外の人が行うと、非常に多くの時間を費やしてしまったり、書類の品質が低いまま提出してしまい、信頼を失墜させてしまうというリスクがあります。
行政書士は、そういった書類関連を個人や企業から代行されて作成し、申請手続きをする仕事です。
具体的には、「会社設立時の書類作成」、「契約書作成」、「飲食店営業許可手続き」、「旅行業の登録」など、その他にも様々あります。
就職先にはどういうところがあるか
試験に合格された方は、そのまま行政書士事務所等に就職するケースが一般的ですが、いきなり開業する人もいます。
それだけ多くの企業から行政書士としての専門知識を問われる仕事が求められているということもいえるのです。
手に職をつけ、在宅ワークをするため、子育て中の主婦の方もたくさん受験しています。
何を勉強するのか
行政書士になる為には、国家試験である「行政書士試験」を受け、合格する必要があります。
行政書士試験では、憲法、行政法、民法、商法、基礎法学の法律知識を問う問題が出題されるので、行政書士の業務に関し必要な法令知識を勉強します。
また、政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解といった行政書士の業務に関連する一般知識についても勉強する必要があります。
行政書士の難易度
行政書士資格の難易度は高く、近年合格率は10%前後になっています。
「難易度が高い」ときくと「私には無理」と勉強をはじめる前から諦める方が多いのですが、難易度が高い分、資格習得で得た専門知識・スキルはとても大きなものになり、収入アップを目指すことができます。
参考 行政書士の難易度
行政書士の試験概要
試験内容
行政書士の業務に関し必要な法令と、関連する一般知識を問われる試験です。
具体的には、以下の科目があります。
科目 | 出題形式 | 問題数 | 配点 |
---|---|---|---|
基礎法学 | 5肢択一式 | 2問 | 8点 |
憲法 | 5肢択一式 | 5問 | 20点 |
行政法 | 5肢択一式 | 19問 | 76点 |
民法 | 5肢択一式 | 9問 | 36点 |
商法・会社法 | 5肢択一式 | 5問 | 20点 |
憲法 | 多肢選択式 | 1問 | 8点 |
行政法 | 多肢選択式 | 2問 | 16点 |
行政法 | 記述式 | 1問 | 20点 |
民法 | 記述式 | 2問 | 40点 |
政治・経済・社会 | 5肢択一式 | 8問 | 32点 |
出題形式
選択式のマークシートと、記述式で出題されます。
適当にマークしれば合格できるかもしれない...という甘い考えは通用しません。
合格率
年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
平成18年度 | 88,163 | 70,713 | 3,385 | 4.79% |
平成19年度 | 81,710 | 65,157 | 5,631 | 8.64% |
平成20年度 | 79,590 | 63,907 | 4,133 | 6.47% |
平成21年度 | 83,819 | 67,348 | 6,095 | 9.05% |
平成22年度 | 88,651 | 70,586 | 4,662 | 6.60% |
平成23年度 | 83,543 | 66,297 | 5,337 | 8.05% |
平成24年度 | 75,817 | 59,948 | 5,508 | 9.19% |
平成25年度 | 70,896 | 55,436 | 5,597 | 10.1% |
平成26年度 | 62,172 | 48,869 | 4,043 | 8.27% |
平成27年度 | 56,965 | 44,366 | 5,820 | 13.12% |
平成28年度 | 53,456 | 41,053 | 4,084 | 9.95% |
平成29年度 | 52,214 | 40,449 | 6,360 | 15.7% |
行政書士の資格を取得するメリット
業務範囲の広い行政書士ですが、しっかりと学習し資格を取得すると様々なメリットがあります。
働く女性はキャリアアップになる
出題される試験科目が憲法・民法・行政なので、法律の中でも基礎になる「基本法」を学びます。
行政書士の試験勉強で学んだ知識が、そのまま他資格学習する際の基礎知識となりダブルライセンスも狙いやすいのです。
また、行政書士の難易度は決して低くありませんが、法律系国家試験の中では比較的学習時間が短く取得しやすい資格です。
社会人の方にとっても負担が少なく、キャリアアップにもつながる上、将来的に独立開業も可能になる点がとても魅力です。
子育てママは手に職がつく
近年、自己啓発として子育て中の女性の方も増えてきています。
その背景には、結婚・出産・子育てなど女性は生活環境の変化が大きく、手に職をつける意味で法律系資格の足がかかりとなる行政書士を受検しているのです。
また、学習期間についても、他の法律資格に比べれば短期間の学習で十分合格レベルに達しますので、学習方法さえ間違わなければ子育てとの両立も難しくはありません。
学生は将来の選択肢が広がる
学習環境に最も恵まれているのが大学生です。行政書士試験の出題科目の性質上、公務員試験や宅建士、司法書士などの法律系資格への足掛かりとしては最適と言えます。
大学生といえども、行政書士取得後は国家資格の肩書きが加わります。書類作成や法務の専門家として、企業の総務や経理部門などへの就職活動の武器としても有効です。
行政書士の勉強方法
行政書士試験は独学による勉強方法では近年難しくなってきていると言われています。
それでも、まだその他の法律系の資格に比べれば合格しやすい試験ではあります。
独学者のために情報を提供しているサイトもあるので、参考にするとよいでしょう。
独学の注意点
法改正は必ずといっていいほど毎年あります。
行政書士試験は、簿記などの他の資格のようにテキストを読み、過去問を何度か解けば合格できる難易度ではありません。
また、書店で販売されている市販教材は法改正分は反映されていないこともある上、行政書士試験の試験傾向・重要論点などを自分で判断するのは時間がかかります。
最短合格を目指すなら通信講座
資格学校を利用すると、試験の傾向を踏まえ、わかりやすく教えてくれます。
出題範囲の中で、強弱をつけて指導してくれるため、効率的に学ぶことができます。
そのため資格の学校へ通うのが一番ですが、受講料も移動時間が大きな負担となります。
近年はインターネットが普及し、通学と同等の講義を自宅で受講できる安い通信講座もありますので、早く合格したい方は通信講座を受講しましょう。